2015.08.26

富士登山と自然を楽しむために

富士山日記第36号 執筆者 環境省 沼津自然保護官事務所 橋本)

富士山の夏山登山シーズンも後半。
お盆を過ぎた途端、富士山は秋の気配が漂い始めました。
青空が広がり太陽の陽射しが照りつける富士山頂でも、風が冷たくなり、日陰にいると寒く感じるようになりました。
これから富士山登山を考えていらっしゃる方は、防寒対策をしっかりとしましょう。

自然現象

8月24日(月)の早朝、御来光前から登山者の様子などを確認するために巡視をおこないました。
下の写真は、朝4:00過ぎの富士山富士宮口頂上の様子です。

(8月24日4:33 撮影:橋本)

濃い霧に覆われて、ヘッドライトもぼんやりしています。
実際に歩くと、数メートル先が霧で見えない状態です。
こんな状態でしたが、たくさんの人が御来光を見るためのポジションを求めて、山頂歩道上を行き来していました。
これでは御来光が見られないだろうと思いがちですが、この日は風が少し強く吹いていて、5時頃には眼下に雲海が広がるのを見ることができるようになりました。
そして御来光もこの通りです。

(8月24日5:11 撮影:橋本)

雲海から快晴の空に昇る太陽を確認した後、太陽に背中を向けると火口側には雲がかかっていました。
その雲の中に珍しい自然現象が発生していました。

(8月24日5:37 撮影:橋本)

ブロッケン現象と白虹(霧虹)です。

何度も富士山の巡視をおこなっていますが、ブロッケン現象と白虹に出会えることはなかなかないので、この日は貴重な体験ができました。
この日、富士山頂にいた人がみなこの現象を見たのかというと、そうではありません。
その時にいた場所、その時の体調、その時見ていた方向などによって変わってきます。

装備・準備はしっかりと

富士山登山とその自然を楽しむためには、やはりきちんとした装備と準備が必要です。
富士山はもう秋です。
暖かい服装や装備を整えて行けば、寒さに震えながらご来光を待つことはありません。
また、「高所順応をする」「きちんと睡眠を取る」「水分補給はしっかりと」といった体調を整える準備をすれば、具合が悪くなる可能性を減らすことができます。
そして、同じグループで行動する時は、できるだけ一緒に行動する、離れそうな場合は連絡が取れるようにする、合流場所をきちんと決めておくなどの対策をして、全員が楽しく過ごせる富士登山になるよう心がけましょう。