2015.09.04

富士山のトイレについて

富士山日記第37号(執筆者 環境省 箱根自然環境事務所 宍戸)

かつて富士山では、し尿が適切に処理されず垂れ流し状態であったため、山肌にティッシュなどのゴミが残り、その様子から「白い川」と呼ばれ問題となっていました。

かつての白い川

しかし、山梨、静岡両県の協力のもと環境省の補助金等により、平成18年度までにほぼすべての山小屋で環境配慮型トイレの整備が完了しました。環境配慮型トイレとは、土壌への垂れ流しを行わないトイレで、し尿をオガクズやかき殻などを利用し微生物の力で分解したり、燃焼を行ったりして処理しているものもあります。

環境省でも山頂など計3箇所に公衆トイレを設置し、山小屋のトイレを含むと、現在富士山5合目以上には約50箇所のトイレがあります。

富士山頂公衆トイレ

しかし、年間約20~30万人の登山者が訪れる富士山では、場所によっては利用者が集中し使用過多のトイレも増えてきました。環境配慮型のようなトイレでは利用者が増えすぎるとその処理能力が落ちてしまうことがあります。

また利用者の増加に従い維持管理費も増えていきます。トイレットペーパーや消毒液、燃料などの荷揚げ、し尿などの荷下げ等、山の上ではトイレの管理にも莫大なコストがかかります。そのため各トイレではご利用の皆さんにトイレチップのご協力をお願いしております(チップの料金は各トイレで異なります)。

これからも綺麗で快適な富士山が残るよう、登山をする際には小銭を持参していただき、トイレチップのご協力をお願いします。