2016.08.15

初めての【山の日】

富士山日記第49号
(執筆者 御中道:千葉大学 風戸(環境省インターン) 西臼塚:環境省沼津自然保護官事務所 橋本)

今年から始まった【山の日】。
『山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する』日です。
8月11日に制定された【山の日】に、全国各地で様々な催しが開催されたようですが、富士山でも山梨県側では御中道(おちゅうどう)で、静岡県側では西臼塚(にしうすづか)で、自然観察会を実施しました。

山梨県側:御中道自然観察会

8月11日は「山の日」ということで富士山自然観察会(御中道)に行ってきました!
文化・植物・地質の各分野の専門の講師の方に、御中道を所々解説して頂きながら歩きました。

そもそも御中道とは?

富士山中腹の5~6合目の標高約2100~2800mをぐるっと1周結んだ総距離約20kmの道のことです。かつては信仰の対象として、富士講信者が修行の道として巡っていました。
この標高付近は森林限界ということもあり、小立を通ったり、岩場を通ったりとその景色は様々です。

御中道には神社や石碑、小屋などが点在しています。そうした遺跡が、富士山が古くから修行者の拠点であったことを表しています。
噴火や雪崩などの環境の変化に耐えながら植物達も違った形へと変化をしてきました。特に印象的だったのが「ミヤマヤナギ」という背の低い植物です。この植物は地下に深い根っこを持っており、富士山のような厳しい環境の中に定着することで、周りの環境を整えて他の植物の生育を助けてくれます。
このような他の植物を助けてくれる植物をナースプランツと言うそうです。

御中道沿いには、約1000年前に流れた溶岩が姿を見せていました。噴火によって飛んだ岩にも様々な色のものがありました。それぞれに磁鉄鉱と呼ばれるものが含まれています。この磁鉄鉱には磁石を引き付ける力があり、磁石を近づけてみて、色ごとにその違いを比べてみたりしました。

講師の解説を聞く参加者
講師の解説を聞く参加者

参加者の皆さんが講師の方々の話に、メモ取りを取りながら真剣なまなざしで聞いているのが印象的でした。
3時間の観察会もあっという間。登山だけでなく、こうした楽しみ方もあるのだと、とても有意義な時間を過ごすことができました!

静岡県側:西臼塚自然観察会

富士山南麓に広がる自然休養林の中に『西臼塚』はあります。
猛暑・酷暑と言われ、静岡県でも暑い日が続いていますが、標高1200m程にある西臼塚は、曇り空だったこともあり、比較的過ごしやすい気候でした。
そんな中、続々と集まってきた参加者のみなさん。
<大人グループ>と<親子グループ>の2班に分かれて、西臼塚の森に入っていきました。

カエデ広場で解説を受ける大人グループ

大人グループは、富士山の成り立ちや西臼塚も火口であること、増えすぎたシカが森に与えている影響、周辺の自然環境や人間がどのような立ち位置で自然と関わっているのか・・・など、大人向けの観察会となりました。

実際に触って自然を感じながら学んでいます

一方の親子グループは、解説の中に“遊び”を取り入れて自然の中で楽しく学びました。
この日は、「私の木」と「ジャングルかくれんぼ」を行いました。
「私の木」は、目隠しをした人を自分の好きな木まで連れて行き、触って覚えてもらった後、元の場所に戻り目隠しを外して触った木を当ててもらうゲームです。
「ジャングルかくれんぼ」は、鬼(人)を必ず自分の目で見ながら上手に隠れるゲームで、自分が動物だったら・・と動物の気持ちを想像できるゲームです。
これには大人も必死で、子どもと一緒に童心に返って楽しんでいました。

ジャングルかくれんぼ中
鬼(人)は木に寄り添って数を数え、ガイドのかけ声で子どもも大人も森の中へ駆け込んで身を隠します。

観察会終了時に書いてもらったアンケートには、「自然の中で楽しみながら学べてとても良かった」「自然との関わり方を考えるきっかけになった」等の感想が多く、私たちももっとたくさんの人に自然の素晴らしさや大切さを伝えられるように頑張っていかなければと思いました。