2016.08.22

いつもの装備に+αで安心・安全登山を!

富士山日記第51号(執筆者 環境省 富士五湖自然保護官事務所 小西)

富士登山シーズンも残り約3週間となりました。
秋の花が咲き始め、秋の気配を感じるようになりました。

今後、富士登山を計画されている方もまだまだ多いかと思います。登山を成功させるために装備はとても重要です。

活火山でもある富士山では安全な登山のために「+αの装備の携行 」を推奨しています!
「+α」とは・・・・?

富士山は活火山です

ここ数年、口永良部島や箱根の大涌谷など日本国内で火山活動が活発になっている箇所がいくつかありますね。一昨年の御嶽山での噴火による大きな被害も記憶に新しいところです。

みなさん御存知の通り、富士山も活火山です。宝永の大噴火(1707年)を最後にその後大きな活動はありませんが、300年以上が経過し可能性からするといつ噴火してもおかしくないのが現状です。

装備は万全に!

万が一に備えて、昨シーズンより自治体や、お土産店、各山小屋などでヘルメットの配備を進めていますが、スペース等の問題もあり絶対数は足りていません。

そのため、富士山を登る際にはヘルメット・ゴーグル・防塵マスクの持参を登山者にお願いしています。

これらの装備は噴火時だけでなく、通常の登山の際にも有効ですので、ぜひ今までの登山装備にプラスして携行をお願いします!
 

  • ヘルメット:転倒や落石の際にも頭を守ってくれます。
  • ゴーグル・防塵マスク:砂が目や口に侵入するのを防いでくれます(特に下山時)
※メガネを着用されている方は、メガネの上から装着できるゴーグルも販売されています。
※防塵マスクはきっちりと隙間なく装着することが重要のようです。

山小屋に配備されたヘルメット
全て装着するとこんな感じです
実際に先日、台風後のまだ強風が残っていて、風による落石の可能性もある中、
常に斜面を気にしながパトロールを実施しましたが、ヘルメットをしていることで安心感がありました。

初めて身に着ける際は、装着順序や方法を間違えたりして、意外と装着に時間がかかるかもしれません。登山前に忘れずに試してみましょう!

山梨県富士山レンジャーによる「ヘルメット等携行PRビデオ(YouTube 3分40秒)」


「正しく恐れる」

ただし、必要以上に心配することもないと思います。日本は火山大国です。一人一人が火山のメカニズムや個々の山について、日頃から正しい知識を学び情報を入手することが大切なのではないかと思います。

その上で「正しく恐れ」、準備を万全にした上で、自然と向き合っていきたいですね。今、私たちが楽しんでいる富士山の美しさも火山として活動した結果作り出されたものです。

また、事前に学ぶことで、登山道を構成している溶岩のひとつひとつが富士山の火山としての歴史を物語っていること、山頂の火口のダイナミックさなど、登山を違った側面から楽しむこともできるのではないかと思います。
山頂の火口の様子
火口周辺の通称お鉢めぐりは1周約90分です