2021.08.16

御中道の清掃と外来種駆除を行いました

富士山日記第98号(執筆者 環境省 富士箱根伊豆国立公園管理事務所 高木俊哉)

吉田口五合目から続く「御中道」とその周辺での活動

御中道の清掃

先日、他の事務所からの呼びかけがあり、御中道の清掃と外来種の駆除を行いました。

朝9時、天候にも恵まれており、スバルライン五合目では登山客だけでなく児童の団体などの観光客も見受けられました。

スバルライン五合目の様子

まずは御中道をスバルライン五合目からおよそ2時間ほどかけて、奥庭駐車場へと歩きながらゴミ拾い。

今回初めて御中道を歩きましたが、その印象はやはり山頂への登山とは異なるものでした。
歩くとすぐに木々に藻の様なものがまとわりついて見えます。
最近流行りのエアプランツに見た目はとっても似ているようです。

中央の木に付着する「サルオガセ」

こちらは「サルオガセ」の仲間で、その実は地衣類(菌類)です。周囲の青々とした植物とは異なり、不思議な印象を持たせてくれます。
こういった生物が見られるのも、荒々しい山頂を目指す登山とは異なる御中道の魅力です。


道中、辺りを見渡してゴミを探しつつ、他にも夏真っ盛りを生きる草木も観察することが出来ました。
また、一部ではありますが看板には植物などの情報も記載しており(今後距離標も設置予定です)、豊かな植物の間からは山頂が垣間見えるポイント(タイトル上画像)もあるので、登山ではなくとも富士山を満喫することが出来ます。

ハクサンシャクナゲと看板

結果、ゴミはほとんどなくきれいな状態が維持されていました。
小さいゴミ(お菓子の袋等)を数個拾ったのみです。

外来種の駆除

サムネイル画像にもありますが、今回外来種として駆除したのは「タニソバ」です。
(※富士山五合目より山頂側は外来種であっても許可なく採取は出来ません)

外来種、と表現していますが、国外からの外来種ではなく国内にも広く分布しています。
しかし、今回駆除を行った四合目付近の工事現場にしか生育が認められていないため、人為的に持ち運びこまれたものであると考えられ駆除の対象となりました。
このまま放置すると、五合目以上の砂礫地への拡大も懸念されます。

タニソバ(左方の赤い葉をもつ植物)

根は浅く、スコリアが混じる地面だったためストレスなく地面から抜くことが出来ました。
根深いとなかなか引き抜くことが出来ないこともあるので、一安心です。

今回はビニール袋6袋ほどの量を駆除しました。
地道な作業でしたが、これからも富士山が変わらない姿であり続けるための必要な作業だと感じます。

また、靴裏に付着している植物の種子等を落とす(持ち込まない)目的で、登山口にマットが設置されている場合があります。
登山前には、マットで土などを落とすようご協力をお願いします。

駆除したタニソバ
種子落としマット

富士山では、今回触れたゴミを捨てない、外来植物を持ち込まない以外にも、登山中のマナーや法律で禁止されている行為があります。
登山前には、以下のリンクを確認して富士山での注意事項を覚えておきましょう。