2016.09.09

富士山週末パトロール最終日

富士山日記第55号(執筆者 環境省 箱根自然環境事務所 吉田)

9月3日(土)に今シーズン最後の週末パトロールを実施しました。今年も計4回のパトロールを実施しましたが、全体として服装などの登山マナーが普及してきたように感じます。最終日は吉田ルートと富士宮ルートの2登山道をパトロールしました。

吉田ルート

富士スバルラインのマイカー規制が9月1日に解除されたことで、吉田ルートはマイカーでの登山者が大勢いました。午前8時の時点で5合目の駐車場はなんと5時間待ち!登山の計画が大幅に狂ってしまった方もいるのではないでしょうか。来年以降も開山期間中にマイカー規制が解除となるかは不明ですが、計画の際に渋滞も考慮する必要があるかと思います。

スバルライン沿い駐車場

我々が懸念したのは、計画が狂ったにも関わらず登山を強行して体調を崩す、下山が遅れて夜間の活動でけがをする等のトラブルです。特に遠方からお越しの方は、せっかくだから山頂に…という気持ちになるのは理解できますが、ご自身の身体が第一です。富士登山の楽しみは登頂だけではありませんので、帰りの時間も計算して途中で引き返すことも大事です。

実際の印象と山小屋からの情報によると、マイカー規制解除を受けて、手軽に、低予算で富士登山をしようと、特に若い世代であまり登山に慣れていないような方が多かったようです。夜通しの登山は、体調不良や怪我につながるだけでなく、歩く音や話し声が山小屋で休んでいる人の迷惑になる場合もあります。また、軽いアウトドアの感覚で富士山を登るのは大変危険です。今回もスニーカーが壊れて歩くのに苦労している方を見かけました。今一度、日本一高く、容易には登れないであることを認識していただければと思います。

壊れた靴の応急措置

富士宮ルート

この日は富士宮ルートも非常に混雑していました。富士山スカイラインはマイカー規制中なので、混雑の理由は定かではありませんが、昨年も9月の最初の週末は混雑していたので、夏休み明けも多くの登山者が訪れているようです。この時期には山頂の気温もだいぶ低くなりますので、山頂を目指す方にとって防寒着は必須です(シーズン通して持参していただきたいですが)。

登山道の様子

このような混雑状況の中、気になる場面もいくつか見られました。無理な追い越しをする人やストックを横向きに持って歩く人には声かけをさせていただきました。富士宮ルートの特徴として登下山道が共通となっています。また、岩場が多く、道が狭い箇所が多いです。そのような特徴も理解した上で、周りの登山者に配慮した登山を心がけていただければと思います。

また、上記の通り岩場を通るため、登山道の範囲を示すためのロープが張ってあります。これは、ロープを超えて道を外すのを防ぐためのものなのですが、ちょうど腰くらいの高さであるため、ロープを手繰って歩く人をよく見かけます。人がつかまることを想定していないため、非常に強度が低く抜けやすいです。体重を支えられるようなものではないことを覚えておいていただきたいと思います。

道の範囲を示すロープ

今年の富士山開山期間は9月10日までとなっています。今後も富士山日記では皆さんのお役に立てるような情報を発信していきますので、ぜひご愛読ください!