2024.04.01

「富士山における適正利用推進協議会」の取組

安全で快適な富士登山のために

富士山の登山者は増加の傾向にあり、平成22年には30万人を超え、それに伴って事故や遭難も多発しています。外国人も多く見られる中、国立公園として適正な利用と安全確保やルール、マナーが課題となっています。
そこで、標識類の乱立、統一性のない表示等、利用者への適切な情報提供と良好な風致景観の形成に支障をきたしていたことから、平成21年に「富士山標識関係者連絡協議会(現在「富士山における適正利用推進協議会」に名称変更。事務局:環境省、山梨県、静岡県)を発足し、標識類の統一に始まり、安全な富士登山を推進していくため、登山者向けの情報提供など様々な取組を行っています。

協議会の取組

『富士登山オーバーツーリズム対策パッケージ』について

富士登山のオーバーツーリズム対策の全体像を示すとともに、今後、現状と課題をより詳細に把握しつつ、国立公園の風致景観の保全と利用者の満足度向上を図ることを目的に、課題ごとに本協議会構成機関が一体となって対策を推進していくため「富士登山オーバーツーリズム対策パッケージ」をとりまとめました。

『富士山における標識類総合ガイドライン』について

  • 適切な標識の配置やデザインの統一などを図るための「富士山における標識類総合ガイドライン」等を策定しています。標識類におけるデザインの統一化、集合化、多言語化等を図ることにより、国内外から来訪する観光客や登山者等の利用者の安全と利便を確保するとともに、秩序ある良好な風致景観を維持及び形成することを目指しています。
  • ガイドラインでは、下記の点などを統一していますので、登山者へ説明する場合は、ガイドラインに沿って統一をお願いします。
<登山口や登山道等の名称・表記の統一>
・登山道は、吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートの4ルートに統一しています。
・標識には、日本語、英語、中国語、韓国語で表記。表記も統一しています。
 
<登山ルートの色の統一>
・4つのルートは、標識で表示する色を統一しています。
吉田ルートは黄色
須走ルートは赤色
御殿場ルートは緑色
富士宮ルートは青色
  • その他の内容等は「富士山における標識類総合ガイドライン」でご確認ください。

『富士登山における安全確保のためのガイドライン』の策定

富士山の夏山期間は7月上旬から9月上旬ですが、夏山期間以外の厳しい気象条件の下、登山を行う利用者が見られ、毎年多くの遭難事故が発生しています。このため、遭難事故防止および自然環境を保全するための「富士登山における安全確保のためのガイドライン(夏山期間も含む)」が策定されました。当協議会ではリーフレットやポスターを作成し、ガイドラインの普及に努めています。


ガイドラインの主な内容は下記のとおりです。
 

  • 万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山「禁止」
  • 夏山期間以外については、「登山計画書」を必ず作成・提出すること
  • 山中のトイレが使用できない夏山期間以外において、携帯トイレを持参して、自らの排泄物を回収し、持ち帰ること
     

『富士山登山者に提供すべき情報』について

  • 富士山の登山者は、登山初心者が多くを占めていることが特徴となっています。また、登山者が事前に得ている登山のための情報源は、インターネットやガイドブックが大半を占めています。しかしながら、これらの情報源の掲載情報を調査した結果、アクセス情報等は充実しているものの、国立公園であることやルール、マナー、あるいは遭難・事故等のリスク等については、ほとんど情報が提供されていないことが把握されました。
  • そのため、当協議会では、登山初心者が多いことを考慮し、登山計画段階、登山開始時、及び登山中の各段階で提供すべき情報を「富士山登山者に提供すべき情報」として整理しました。
  • 整理した情報は、次の5つから構成されています。
①登山基本情報
・登山シーズンを登山道開設期間とし、7月上旬から9月上旬としています。
・その他、登山口・登山ルート、必要な装備、登山行程、トレーニングに関することなど。
 
②安全・リスク情報
・多発している事故・遭難、道迷い、高山病等のリスクをあげています。
・また、気象情報をはじめとする、リスクへの対応策など。
 
③規制・マナー情報
・国立公園であること、法律で規制されている行為のほか、富士山での利用ルール・マナーをあげています。
・また、マイカー規制に関することなど。

④利用のための情報
・はじめての登山者に対し、山小屋やトイレなど、予め知っておくべき利用に関することなど。

⑤自然・歴史文化資源情報
・富士山の自然資源や歴史文化資源など、味わい深い富士山を楽しむための資源紹介など。
  • 旅行会社、出版社、登山用品店、ホームページの管理者、等、富士山登山者に登山に関する情報を提供されている各主体においても、当協議会が整理した「富士山登山者に提供すべき情報」に沿って安全登山の普及にご協力をお願いいたします。

これまでの取組

『富士山における適正利用推進プログラム』の策定

富士山世界文化遺産に係る保全状況報告書の提出・国立公園満喫プロジェクトの推進など、富士山を取り巻く状況の変化及び利用の現状と課題等を踏まえ、協議会として取り組むべき事項の明確化を図り、富士山における適正な利用の推進に向けた取組を促進・強化するために「富士山における適正利用推進プログラム」を策定しました。(2019年4月1日~2024年3月31日)

2024年にプログラムの取組状況について検証し、今後の方向性について整理をし、「富士登山オーバーツーリズム対策パッケージ」に引き継ぎながら、必要な取組みは継続していくことといたしました。


安全な富士山登山普及啓発用ビデオ「富士山へようこそ~安全登山のために~」の配布

  • 登山ツアーバスの車内やツアーの事前説明会、あるいは店舗内等で登山者向けに上映していただけるビデオ(DVD)をルートごとに作成しています(1ルート分:15分程度)。
  • 内容は、各ルートの特徴・施設や注意点、ルールとマナー、安全登山のための注意喚起、高山病対策、出発前に実施した装備チェックとなっています。
  • 平成23年度に作成したビデオをDVDで無償配布していますので、登山者への情報提供にご活用ください。
  • ビデオ以外にも、内容を簡単に短縮した音声案内(CD)も作成し、配布しています。
  • DVD及びCDをご希望の方は、下記にご連絡ください。
 
環境省関東地方環境事務所 富士箱根伊豆国立公園管理事務所
〒250-0522神奈川県足柄下郡箱根町元箱根 旧札場164
電話:0460-84-8727
FAX :0460-84-9349

『富士山ガイダンス』の開催

  • 平成23年度より年1回、旅行会社、出版社、登山用品店等、登山者に直接情報を伝えることができる企業等を対象とし、説明会やワークショップ形式で行っています。※平成30年度、令和2年度は実施せず
  • 富士山登山者の実態や協議会による情報提供等の取組状況のほか、ご来光だけではない富士山の魅力が再発見できる事例等の紹介、富士山における課題についての検討等をしています。
  • 毎年の開催については、このホームページでお知らせするほか、下記でもお知らせしますので、奮ってご参加ください。 なお年度によっては一般参加を募集しない場合もございます。

過去の開催については下記をご覧ください。

当協議会の取組や情報についての問合せ先

「富士山における適正利用推進協議会」事務局

  • 環境省 関東地方環境事務所 富士箱根伊豆国立公園管理事務所
〒250-0522   神奈川県足柄下郡箱根町元箱根 旧札場164
電話:0460-84-8727  FAX :0460-84-9349
 
  • 山梨県 知事政策局 富士山保全・観光エコシステム推進グループ
〒400-8501 甲府市丸の内1-8-17
電話:055-223-1521  FAX :055-223-1438
 
  • 静岡県 スポーツ・文化観光部 文化局 富士山世界遺産課
         〒420-8601  静岡県静岡市葵区追手町9番6号
          電話:054-221-3747   FAX :054-221-3757