富士登山成功のカギは準備にあり!<体力編>
富士山日記第94号(執筆者 環境省 富士五湖管理官事務所 小西 美緒)
2年ぶりの開山!
富士山が2年ぶりに開山してからもうすぐ1ヶ月(静岡県側では3週間日ほど)ですね。例年梅雨明けまでは登山者も少なく比較的静かで、海の日くらいからいよいよ夏山シーズン本番となってきます。今年も4連休辺りから登山者が多くなってきた印象です。
これから富士登山を計画している方に、現地で働く環境省のアクティブ・レンジャーが安全・快適・楽しい登山にするためのポイントをお伝えしたいと思います。
富士登山成功のカギは・・・・
富士登山成功のカギは「準備」です!!
良い思い出になるかどうかは、かなりの部分を「準備」が占めていると思います。
特に今年は新型コロナウィルスへの対策や救助体制に影響を与えないためにも例年以上に確実な準備をすることが重要です。
- 装備とルール
- 体力強化
- プランニング・情報収集
日本一高い富士山は決して簡単ではありません。富士登山を成功に導くにはどの準備も非常に重要です。すでに「装備とルール」については6月30日に投稿済(「開山前から出来る装備の状態とルールの確認」ですので、今回は体力強化についてお伝えします。
富士山は楽じゃない!
富士山の五合目から山頂まではルートによって異なりますが、距離は片道4.5km~10.5km、標高差は片道で1,400m~1,800m。登山時間は標準で往復10~13時間。日常生活にはない運動強度です。
五合目 の標高 |
距離 (往復) |
標高差 (五合目〜山頂) |
コースタイム | ||
吉田ルート | 2,305m | 17.4km | 1,471m | 登り:6.5時間 下り:4.0時間 |
合計:10.5時間 |
須走ルート | 1,970m | 16.1km | 1,806m | 登り:7.0時間 下り:4.0時間 |
合計:11.0時間 |
御殿場ルート | 1,440m | 20.8km | 2,336m | 登り:8.5時間 下り:4.5時間 |
合計:13.0時間 |
富士宮ルート | 2,380m | 12.2km | 1,386m | 登り:6.0時間 下り:4.0時間 |
合計:10.0時間 |
それも行きは登りっぱなし、帰りは下りっぱなしと同じ筋肉を酷使します。さらに登るほど酸素は薄くなり、行動すること自体が大変になります。
みなさん、平地で10km歩いたことあるでしょうか??1日に6時間以上歩いたことありますか?それよりも山は何倍も大変です!
何故、体力強化が必要?
体力・筋力がないことで、起こり得るリスクはなんでしょうか?かなり沢山あります。
●ふんばりが効かなくなり身体のバランスが保てない
⇒転倒や落石を起こすなどの危険性が高くなる
⇒自らが怪我をしたり、他の登山者に怪我を負わせてしまうリスク
●予定より大幅に時間がかかってしまう
⇒日没による道迷いや公共交通機関に間に合わなくなる危険性
●バテてしまう
⇒集中力がなくなり道間違いをしたり、危険物に気付かない危険性
⇒景色を楽しむ余裕がない
⇒単純にしんどくてつらい。楽しくない
パトロールをしていると特に下山時にゾンビのように足を引きずって歩いている登山者をよく見かけます。見る度に「もっと準備しておけば、きっと違っただろうに、、、」と残念に思います。
体力は一日にしてならず!
何をすればいい?
②登山を想定して少し負荷をかけてみる(週1~2回)
③プレ登山で実際に登山をしてみる(月1~2回)
②腹筋・背筋・プランクなど
日本の宝である富士山を皆さんに思う存分楽しんでもらいたい!!と言うのが 私の願いです。
この日記が、準備不足によるリスクを知っていただき行動に移すきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。