富士山で見られる高山植物
富士山日記第99号(執筆者 環境省 富士箱根伊豆国立公園沼津管理事務所 刑部美鈴)
富士山の五合目より上に植物ってあるの!?
植物が生息しにくい厳しい環境の富士山五合目より上。富士山の高山帯は土壌のほとんどないスコリアが広がっており、植物が定着するのには非常に困難な環境です。本日はそんな困難な環境に生息してきた富士宮口五合目付近、また五合目より上でみられる植物のご紹介です。
中には食用や薬として古くから利用されてきた植物もありますが、富士宮口五合目より上は国立公園の特別保護地区として、いかなる動植物の採取も禁止されていますのでご注意ください。
今回こちらの日記を書くにあたり、「富士山の植物図鑑」(東京書籍)と「富士山自然ガイドブック」(山梨県環境科学研究所)を参考にしました。
コケモモ
9月頃になると実が赤くなり、ジャムや果実酒として食用できます。(ただし、先ほども記載しましたが富士宮口五合目付近は国立公園の特別保護地区で、採取は禁じられていますのでご注意を!) 富士山では標高1000mくらいから自生しています。
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ホタルブクロ
昔子供たちが捕らえたホタルを入れた袋に由来するとか、ホタルを入れるのにちょうどよいからこの名前がついたと言われています。富士山五合目付近でよく見かけ、紫色がきれいでホタルを入れていた!?だけあって割とお花は大きめで目を引きます。
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ベニバナイチヤクソウ
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6月下旬~7月頃、ピンク色のきれいな花をつけます。イチヤクソウは漢字で書くと「一薬草」で、虫刺されや傷に効く薬草なんだとか。
ミヤマオトコヨモギ
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五合目付近に小さくて丸い緑色の地味な花をつけた植物があるなと思い調べたところ、この丸くなっているものは花の集まったもので渋い花をつけるのだそう。 日本の固有種で富士山五合目のスコリア荒原で最もよく見られる植物の一つ。
ベニイタドリ
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別名をメイゲツソウといい、砂礫地によく見られる日本の固有種。 似た植物に富士山五合目より上でよくみられるオンタデがあります。
山頂を目指す前や帰ってきたときにふと足元を見てみると、こういう高山植物が見つかるかもしれません。少し足を止めて、こういった植物を観察してみるのもまた違った富士山の楽しみ方の一つかもしれませんね。