富士山「須走ルート」
富士山日記第109号(執筆者 環境省 沼津管理官事務所 アクティブレンジャー 山田優子)
8月も後半になり富士山閉山まで一ヶ月を切りました。麓はまだまだ暑い日が続いていますが、富士山頂は真夏でも陽射しは強いものの気温は低く、風が吹くと体が一気に冷えてしまいます。防寒着などしっかり準備して下さい。
今回は富士山の登山道の中で「須走ルート」の紹介をしたいと思います。
富士山には4つの登山道がありますが、登りはじめの標高や登山道の特徴がそれぞれ違います。ルート選びに迷ったときに参考にして下さい。
須走ルートは、五合目登山道入口が樹林帯の中にあり、しばらく森の中を歩いて行きます。富士登山の厳しい条件の中に夏の直射日光がありますが、須走ルートは六合目付近まで、森の中を歩くことが出来るので、植物を楽しんだりしながら歩くことが出来ます。
本六合目を過ぎた辺りから背の高い植物はなくなっていきます。富士山らしい細かいスコリアの上をゆっくり登って行きましょう。この辺りでもふと足下を見ると高山植物が咲いているので、疲れて足を止めたら植物を探してみて下さい。けなげに咲く花たちに元気をもらえますよ。
以前、須走ルートの植物を紹介していますので参考にして下さい。↓クリック
富士登山オフィシャルサイト「富士山の植物(須走ルート編)」
八合目辺りから岩場になってきます。山頂が見え始めてゴール間近!と思ってしまいますが、まだまだ気は抜けません。本八合から吉田ルートと合流し急な坂を登ります。この辺りから空気の薄さを更に感じゴールは見えているのになかなか近づかず、一番辛く感じる場所かもしれません。息を深く長く吐きながら少し先に目標を立てて一歩一歩進んで行きましょう。眼下に広がる景色を見れば元気がもらえますよ。山頂直下の鳥居と狛犬が近づいて来たらもう少しです。
日本一の標高を目指すなら、お鉢を時計回りに30分程歩き剣ヶ峰(標高:3776m)を目指して下さい。(お鉢巡りは反時計回りでも行く事が出来ます。)登山道はアップダウンを繰り返しながらゴロゴロしたスコリアの上を進んで行きます。剣ヶ峰直下の馬の背では体力を振り絞って急な斜面を登ります。足下が滑りやすいので、ストックなどをうまく使いながら進みましょう。
山頂では思う存分景色を楽しんで下山に備えて下さい。須走ルートの下山は登ってきた登山道とは違いますので事前に確認しておきましょう。細かなスコリアのつづら折りの登山道を下ります。足を取られないように気をつけて下さい。勢いよく下りすぎて止まることが出来ずに転がってしまう人を見かけます。膝に負担がかかるので、無理のないスピードで下山して下さい。