2025.09.11
開山期以外の富士山
‐ 富士山の開山期は例年、下記のとおりです - |
山梨県 | 吉田ルート | 7月 1日 ~ 9月10日 |
静岡県 | 須走ルート | 7月10日 ~ 9月10日 |
御殿場ルート | 7月10日 ~ 9月10日 | |
富士宮ルート | 7月10日 ~ 9月10日 (五~六合目区間は6月下旬頃~11月上旬頃) |
開山期以外は、富士山山頂への登山道はすべて通行止めです。
安全上の理由から道路法第46条の規定では、富士山五合目~山頂の登山道は「通行禁止」となっています。(一部期間の富士宮ルートのみ六合目~山頂)
違反した場合、六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金に処される可能性があります。 開山期以外の富士登山は大変危険です。


富士山(五合目以上)の開山期は上記のとおりで、それ以外の期間は登山道は通行止めです。
知識があり装備もそろえたはずの山岳経験豊富な登山者による死亡事故も発生しています。
閉山中は救護所・山小屋が営業していません。気象条件の厳しい富士山においては猛烈な吹雪や突風に見舞われる事が多く、大変危険であり、山岳遭難のリスクが極めて高いです。
遭難の原因は、
- 気象などの情報不足
- 観光気分
- 十分な装備を持たない
- 知識や経験の不足
- 無理な登山や過密スケジュール
- 自分は事故を起こさないという過信
知識があり装備もそろえたはずの山岳経験豊富な登山者による死亡事故も発生しています。
閉山中の富士山の詳細は、この後に続く「開山期以外の富士山の様子」をご確認下さい。
開山期以外の富士山の様子
開山期以外は安全の保障は全くありません。
夏の開山期間と違い、専門的な知識と装備、経験、体力を兼ね備えたエキスパートでさえも遭難することがある危険な山へ変貌するということを、まずはご理解下さい。
1) 厳しい気象条件 ~気温~
夏の開山期間中とそれ以外の期間とでは、基本的な気象条件が全く違います。
グラフは富士山頂における2022年~2024年の日最低気温(旬平均)の推移を示しています。これを見ると、閉山中のほとんどは氷点下であり、特に11月から翌4月にかけては、マイナス10℃以下の極寒であることが分かります。それ以外の期間では気温が緩むように見えますが、5~6月は気温の上昇により雪崩や滑落の危険があり、9~10月は台風や秋の長雨などと相まって低体温症を引き起こす危険が極めて高くなります。
注) 夏の開山期間であれば、氷点下にならないわけではありません。旬ごとの平均でプラスとなるだけで、開山期間中でも氷点下を記録し、山頂火口に"つらら"ができることもあります。
夏の開山期間中とそれ以外の期間とでは、基本的な気象条件が全く違います。
グラフは富士山頂における2022年~2024年の日最低気温(旬平均)の推移を示しています。これを見ると、閉山中のほとんどは氷点下であり、特に11月から翌4月にかけては、マイナス10℃以下の極寒であることが分かります。それ以外の期間では気温が緩むように見えますが、5~6月は気温の上昇により雪崩や滑落の危険があり、9~10月は台風や秋の長雨などと相まって低体温症を引き起こす危険が極めて高くなります。
注) 夏の開山期間であれば、氷点下にならないわけではありません。旬ごとの平均でプラスとなるだけで、開山期間中でも氷点下を記録し、山頂火口に"つらら"ができることもあります。
2) 厳しい気象条件 ~風~
また、開山期以外の富士山において気温以上に厳しくなるのが、風の強さです。平均でも 15m以上、最大風速は40mを超えることもあると言われています。スコリアの小石が飛んで顔や目に当たったり、砂や雪煙が舞って視界が遮られるような日も珍しくありません。突風による転倒やアイスバーンでの滑落の恐れもあります。(特に春先には遭難事故が多く発生しており、死亡事故に至るケースもあります)
また、開山期以外の富士山において気温以上に厳しくなるのが、風の強さです。平均でも 15m以上、最大風速は40mを超えることもあると言われています。スコリアの小石が飛んで顔や目に当たったり、砂や雪煙が舞って視界が遮られるような日も珍しくありません。突風による転倒やアイスバーンでの滑落の恐れもあります。(特に春先には遭難事故が多く発生しており、死亡事故に至るケースもあります)
3) 施設が使えない
救護所やトイレ、山小屋などの施設は冬季閉鎖されています。そのため避難場所として逃げ込むこともできません。以前に冬季閉鎖中の五合目施設に何者かが侵入し施設を燃やされたり、山小屋に不法に侵入して金品を奪う事案が発生したことがありますが、いずれも明らかな犯罪行為です。
救護所やトイレ、山小屋などの施設は冬季閉鎖されています。そのため避難場所として逃げ込むこともできません。以前に冬季閉鎖中の五合目施設に何者かが侵入し施設を燃やされたり、山小屋に不法に侵入して金品を奪う事案が発生したことがありますが、いずれも明らかな犯罪行為です。
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山頂公衆トイレ:冬季閉鎖
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吉田ルート下山道七合目公衆トイレ:冬季閉鎖
4) 登山道が整備されない
開山期は台風等によって土砂が崩れたり、登山道が歩きにくくなっても、すぐにメンテナンスされますが、閉山後は登山のための歩道整備は一切行われません。また、開山期間中はよく目にする 誘導標識、案内地図、ガイドロープ等は撤去または冬養生され、登山者の安全確保はされません。 さらに登山道が整備されないことで、落石の発生確率が上がり、人命に関わる危険が高まります。
開山期は台風等によって土砂が崩れたり、登山道が歩きにくくなっても、すぐにメンテナンスされますが、閉山後は登山のための歩道整備は一切行われません。また、開山期間中はよく目にする 誘導標識、案内地図、ガイドロープ等は撤去または冬養生され、登山者の安全確保はされません。 さらに登山道が整備されないことで、落石の発生確率が上がり、人命に関わる危険が高まります。

開山期間中 2025年9月5日 台風による土砂崩れ直後 (吉田ルート) [山梨県提供]

開山期間中 2025年9月6日 登山道復旧後 (吉田ルート) [山梨県提供]
開山期であれば、すぐに歩道の整備がされるが、閉山中は登山者のための歩道整備は一切されない。
開山期であれば、すぐに歩道の整備がされるが、閉山中は登山者のための歩道整備は一切されない。
5) 携帯電話がつながりにくい
夏の開山期は多くの登山客が来るため、この期間、携帯電話の各キャリアが基地局を増強するなどして対応しています。しかし、開山期が終了すれば施設の電源も落とされ、増設された基地局も無くなるため、携帯電話はほとんど繋がりません。
夏の開山期は多くの登山客が来るため、この期間、携帯電話の各キャリアが基地局を増強するなどして対応しています。しかし、開山期が終了すれば施設の電源も落とされ、増設された基地局も無くなるため、携帯電話はほとんど繋がりません。
6) 救助に行けない
遭難事案が発生したとしても、気象条件の厳しさゆえ、天候等によっては救助活動が困難です。また、遭難者本人のみならず、救助者も危険にさらされることになります。
「自分なら大丈夫」
「自己責任だからOK」
「みんなが行っているから登っても良い」
というような安易な考えでの登山は、大変危険ですので絶対におやめください。
遭難事案が発生したとしても、気象条件の厳しさゆえ、天候等によっては救助活動が困難です。また、遭難者本人のみならず、救助者も危険にさらされることになります。
「自分なら大丈夫」
「自己責任だからOK」
「みんなが行っているから登っても良い」
というような安易な考えでの登山は、大変危険ですので絶対におやめください。
開山期間以外の富士山の様子 (邪魔・迷惑の観点)
上記までは、「命を守る」観点から6つの点について説明しました。加えてもう一つ知って頂きたい観点があります。
ここまでの説明を読んでも、「厳冬期は無理でも開山直前や閉山直後なら行けるんじゃないか」と考える人がいるかも知れません。しかし、開山前後の時期は、山小屋の補修・改修が行われたり、導流堤などの設備を工事したりするなど、富士山の各施設のメンテナンスのために必要な貴重な期間です。厳冬期以外の限られた期間に、天気も見ながら予定の工事をやり遂げなければなりません。山小屋前の登山道が塞がれ、資材を運ぶ車両が行き交う中で登山者が登って来る行為はどうでしょう? 作業の支障となり、富士山に「迷惑」となります。
次の年に向けての大事なメンテナンスでもあることから、ぜひご理解頂きたいです。
ここまでの説明を読んでも、「厳冬期は無理でも開山直前や閉山直後なら行けるんじゃないか」と考える人がいるかも知れません。しかし、開山前後の時期は、山小屋の補修・改修が行われたり、導流堤などの設備を工事したりするなど、富士山の各施設のメンテナンスのために必要な貴重な期間です。厳冬期以外の限られた期間に、天気も見ながら予定の工事をやり遂げなければなりません。山小屋前の登山道が塞がれ、資材を運ぶ車両が行き交う中で登山者が登って来る行為はどうでしょう? 作業の支障となり、富士山に「迷惑」となります。
次の年に向けての大事なメンテナンスでもあることから、ぜひご理解頂きたいです。
富士登山における安全確保のためのガイドライン
前述の通り道路法の規程がありますが、十分な知識と経験と体力を持つ方が自己責任において閉山中の富士山に挑んでいるのも事実であり、それによる遭難事故も発生しています。
安全上の観点から、開山期以外の富士登山は決して推奨しません。開山期以外は登山道を封鎖し、登山を慎むよう呼び掛けていますが、実際には封鎖を承知で突破し、個人の自由の下で登山を決行し、それで遭難したとしも、救助要請があれば、山岳救助の方々が危険を冒して救助に向かわなければならないのが実情です。
こうした遭難事故の防止や自然環境を保全するため、平成25年に「富士登山における安全確保のためのガイドライン」(主に夏山期間以外における注意事項)が制定されています。
富士山においては、万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山禁止をはじめとしたルールが決められていますので、これらのルールを遵守する様にお願いします。主な内容は以下のとおりです。
安全上の観点から、開山期以外の富士登山は決して推奨しません。開山期以外は登山道を封鎖し、登山を慎むよう呼び掛けていますが、実際には封鎖を承知で突破し、個人の自由の下で登山を決行し、それで遭難したとしも、救助要請があれば、山岳救助の方々が危険を冒して救助に向かわなければならないのが実情です。
こうした遭難事故の防止や自然環境を保全するため、平成25年に「富士登山における安全確保のためのガイドライン」(主に夏山期間以外における注意事項)が制定されています。
富士山においては、万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山禁止をはじめとしたルールが決められていますので、これらのルールを遵守する様にお願いします。主な内容は以下のとおりです。
- 万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山「禁止」
- 夏山期間以外については、「登山計画書」を必ず作成・提出すること
- 山中のトイレが使用できない夏山期間以外において、万全な準備をした登山者が登山を行う場合、携帯トイレを持参して、自らの排泄物を回収し、持ち帰ること
問合せ・質問等
●ガイドラインに関する問合せ・質問等は、下記までお願いします。
山梨県 観光文化・スポーツ部 富士山観光振興グループ
電話:055-223-1315
静岡県 スポーツ・文化観光部 富士山世界遺産課
電話:054-221-3747
環境省 関東地方環境事務所 富士箱根伊豆国立公園管理事務所
電話:0460-84-8727