富士登山の前に
-富士山を感じる山に登ろう!-神奈川エリア
富士山日記第103号(執筆者 環境省 富士箱根伊豆国立公園管理事務所 高木俊哉)
富士登山を目指して
富士山は今年も厳しい冬を迎えています。
2021年はコロナ禍での対応が行われながら、2年ぶりの開山を迎えました。そしておよそ7万9千人の登山者が訪れました。
私は2度登頂しましたが、どれだけの方が初めてだったのでしょう。
初めての登山で富士山を訪れた、登山初心者の方も多かったのではないでしょうか。
富士山は最も短い富士宮ルートでも、登下山合計でおよそ8時間がかかります(標準所要時間)。
街歩きでさえもそれだけの時間歩き続けることは疲れるのに、日本一高い山で強風や強い日差しに晒されながら登るには、それなりの準備をしなければ順調に歩くことはできないでしょう。
登山経験のない方は筋力が不足していたり、慣れない靴やバッグで余計に疲れたり、岩石やスコリアの多い富士山では歩きづらかったり、、、様々なリスクも一緒に背負うことになります。
また、急に標高があがることによる高山病や、防寒具不足による低体温症も忘れてはいけないリスクで、事前の準備や予防が大切です。
過去の日記に、富士登山成功を目指す人のために向けた準備の必要性と体力強化についての記事があります。準備のイメージを固めるための参考にしてみてください。
準備のイメージが固まったら、まずは富士山が見える山に登ってみてはいかがでしょうか。
経験してみると、必要なものや自分に足りなかったものが見えてきて、富士山登頂が過酷で後悔するものから楽しいものに変わるかもしれません。
なにより「一生に一度で充分」よりも、「何度も楽しめる」魅力が富士山には溢れています。
今回は富士山と同じ富士箱根伊豆国立公園内、神奈川県は箱根エリアから「金時山」をご紹介します。
金時山
金時山は標高1,212m、箱根町のカルデラ地形を取り囲む外輪山最高峰の山です。
猪鼻岳との名前で呼ばれたこともあり、イノシシの鼻に例えるほど急峻な傾斜を持つ山頂付近はトレーニングにもってこいです。
長時間の登山にはなりませんが、急勾配のアップダウンがあるため、足首を固定できる登山靴を用意しましょう。
山頂は「富士山のある風景100選」にも選定されていますので、登り切った後の富士山の眺めは絶景です。
東西に連なる外輪山(乙女峠、明神ヶ岳)と足柄峠、箱根町の公時(きんとき)神社からアクセス出来ます。
公時神社~山頂
今回は公時神社から山頂までのルートをご紹介します。
登山口には公衆トイレもあり、登山届の提出も出来ますので準備をしてからスタートしましょう。
標準所要時間:2時間10分(登下山、休憩なし)
まずは舗装道路を歩き、神社の横を通り過ぎていきます。
開始から1時間ほどはスギ林のちょうどよい日影が続き歩きやすいです。
登っていると徐々に勾配が上がっていきます。
途中、道路を横断する箇所があります。
交通量は少なくないので、注意して渡りましょう。
もう少し進むと、突然巨大な大岩が現れます。
上部には草木が根付いているのがわかりますでしょうか。
金太郎伝説にゆかりのある大岩ですが、大きすぎてサイズ感をつかむことができません。
左下の人影と比較をしてみてください。
1時間ほど歩くと分岐が現れますので、左側へ進みましょう。
分岐を過ぎて山頂が近くなると、ごろごろとした岩肌が増えてきます。
段差の一つ一つも大きくなり、足を滑らせた際には事故に繋がってしまうので、意識してゆっくり登りましょう。
個人的には、こういった場面での筋肉の使い方が重要になるのではないかと思います。
最後の難関、身の丈ほどもある段差を乗り越えればいよいよ山頂です。
山頂ではルールを守って休憩や飲食を行いましょう。
バイオトイレも整備されていますので、正しくご利用ください。
また、山頂と富士山の様子を確認できるライブカメラがありますので登山前に確認してみてください。
参考
今回の「富士登山の前に-富士山を感じる山に登ろう-」シリーズ、他エリアの記事などもどうぞ。
夏山期間以外における注意事項は下記ページをご覧ください。