夏本番! 安全で楽しい富士登山を!!
(4)山行での注意点・緊急対応編
富士山日記第120号(執筆者 環境省 富士五湖管理官事務所 アクティブレンジャー 半田尚人)
安全で楽しい富士登山をしてもらうため、数回にわたって夏の富士登山で注意したいポイントをお伝えして来ましたが、最後は山行での注意点・緊急対応編です。実際に登山に臨まれる際に、ぜひ頭の片隅に入れておいて頂きたいと思います。
1.必ず山行計画をメンバー全員で共有しよう
2.富士山アプリのススメ
3. 最新の天気予報をチェック。時にはやめる勇気も。
登山前日に最新の天気予報を見て行くか行かないかを判断するのは当然ですが、今や山の中にいてもスマホで最新の雨雲の様子やよりピンポイントなその場所の天気予報も調べられる時代。その気になれば天気を調べるのは容易でしょう。
肝心なのはそれを見て判断するあなたの目。客観的にリスクを判断できれば良いのですが、特に旅行日程の中に登山を組み込んでいる人や仕事の関係で他の休みが取れない人などで天気が悪くても強行してしまう人がいます。富士山5合目以上は基本的に吹きさらしで逃げ場がありません。ましてや山小屋の予約もしていない弾丸登山においては、悪天候の中で一晩過ごさなければならず、命の危険に関わります。危ないと判断したら、山行を中止する勇気を持ちましょう。
4.登山道での注意点(1) 共通編
また休む時もグテ~と寝っ転がるのは禁物。もしもの落石の時に対処が出来ません。何かあってもすぐにその場から避けられる態勢でいて、グループの誰かが山側の斜面の状況を見張っているようにするのがセオリーです。
また、吉田ルート以外も含め、連絡道や下山道でクローラー(運搬車)とすれ違うことがあります。その場合は、クローラーが一旦停車して山側を通り抜けるのが基本ですが、道の状況等もあるので、運転者の指示に必ず従うようにして下さい。
樹林帯にいて落雷リスクの場合には、木への落雷による側撃雷の危険が高いです。周囲の木や枝葉から4m離れて身をかがめて雷をやり過ごして下さい。
周囲に何も無い登山道(下山道)の場合には、登山道上でも谷側ではなく山側でなるべく背を低くして身を隠して下さい。慌てず、スマホ等で情報収集しながら慎重に行動して下さい。
(2024.8.9 赤字部分を加筆修正)
5.登山道での注意点(2) 個別ルート編
- 吉田ルート
- 須走ルート
- 御殿場ルート
- 富士宮ルート
- お鉢巡り
七合目わらじ館を過ぎて少し行くと、登山道と下山道(大砂走り)とに分かれ、20分くらい下るとその分岐があります。ここはまっすぐ進めば、宝永山の馬の背に行けますし、分岐に道標は立っていますが、駆け下って来たり、濃霧の時などはうっかりすると間違えてそのまま大砂走りに突入してしまう場合があります。注意しましょう。
また、富士宮口 五合目富士山総合指導センターにてヘルメットの無料貸出を行っています。検討してみて下さい。
6. 傷病者発生など緊急で救助が必要になった場合
傷病者発生など緊急で救助が必要になった場合、まず近くに山小屋等の施設がある場合には、そこに事情を説明し救助の要請をしてもらって下さい。近くに施設が無い場合、自分が今どの登山道にいるかによって連絡先が変わります。山梨県側(吉田ルート)であれば、五合目総合管理センター(090-5190-0167)、静岡県側(富士宮ルート、須走ルート、御殿場ルート、およびお鉢巡り)であれば、静岡県警 に連絡を取ることになります。連絡の際、現在地を聞かれるので、近くの道標・標識などにある現在地番号を確認して置くとスムーズです。連絡先については下記リンクにてご確認下さい。
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どうでしたか。後半はもしもの話だったので、少し不安に思ったかも知れませんが、もしもの時はどうすれば良いかも含めて理解しておくと、より安全に山を楽しめると思います。
最後に是非しっかりと事前準備をし、安全かつマナー&ルールを守って、富士登山に臨んで下さい。思い出に残る素敵な山旅となることを関係者一同願っています。
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